在留資格「経営・管理」許可基準の厳格化
― 新規申請は96%減。2025年10月改正のポイントと実務への影響 ―
2025年10月16日に施行された省令改正により、在留資格「経営・管理」の許可基準が大幅に厳格化されました。 法務省・出入国在留管理庁が公表した一次情報によれば、資本金要件の引き上げ、常勤職員の雇用義務、日本語能力要件の追加など、制度の根幹が変わるレベルの改正です。
その結果、2025年10月〜2026年3月の新規申請数は前年同期比で約96%減という、極めて大きな影響が出ています。
本記事では、行政書士として一次情報をもとに、改正内容と実務上の注意点をわかりやすく整理します。
1. 今回の改正の位置づけ
法務省・入管庁は以下の省令を改正しました:
- 出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令
- 出入国管理及び難民認定法施行規則
施行日:2025年10月16日
目的は、
「実態の伴わない経営・管理ビザの申請を排除し、真に事業を行う外国人のみを受け入れる」 という方針の明確化です。
2. 主な改正ポイント
① 資本金要件の大幅引き上げ
従来:500万円 → 改正後:3,000万円以上
資金調達の裏付け資料も厳格に確認されます。
② 常勤職員の雇用義務化
申請時点で 1名以上の常勤職員(日本人・永住者等) を雇用していることが必須。
「許可後に雇います」は不可。
③ 日本語能力要件(B2 / JLPT N2相当)
申請者本人、または常勤職員のいずれかが B2(JLPT N2相当)以上の日本語能力 を持つことが必要。
④ 経営経験・学歴要件の追加
以下のいずれかが必要:
- 3年以上の経営経験
- 修士相当以上の学位
⑤ 事業計画書の専門家確認が義務化
行政書士・税理士などの専門家による 事業計画の妥当性確認 が必須。
形式的な計画書では通らない運用に。
3. 新規申請が「96%減」になった理由
2025年10月〜2026年3月の統計では、 新規申請が前年同期比で約96%減少。
背景は以下の通り:
- 資本金3,000万円のハードルが高い
- 常勤職員の確保が困難
- 日本語能力要件の追加
- 形式的な会社(ペーパーカンパニー)排除の強化
- 専門家確認の義務化で準備負担が増大
制度の趣旨が「本物の経営者だけを受け入れる」方向へ完全にシフトしました。
4. 行政書士としての実務ポイント
● 新規申請は「資金・人材・日本語」の3点セットが必須
最低ラインとして:
- 資本金3,000万円
- 常勤職員1名
- 日本語B2(N2)相当
これらが揃っていない場合、申請準備に進むべきではありません。
● 更新審査も厳格化
2025年7月10日以降、更新審査も強化されました。
- 活動実態説明書
- 公租公課の納付状況
- 雇用体制
- 事業の継続性
これらの確認が必須となり、 「とりあえず会社を作ってビザを取る」運用は完全に終了しています。
5. 今後の見通し
今回の改正は、制度濫用の増加を背景にした抜本的な見直しです。 今後も、
- 資金の出所
- 雇用の実態
- 事業の継続性
- 税務状況 など、実態審査がより重視されると考えられます。


